政治資金収支法違反で、12月に入り、自民党の安倍派の会計責任者などが次々と東京地検特捜部に事情聴取される事態となっている。
2023/12/07の報道では、「会計責任者がキックバックについて、事務総長に報告した」と地検に説明していることが明らかになったが、このことについてコメントを求められると、安部派の幹部たちは知らぬ存ぜぬノーコメントを決めこんでいる。
会見や国会の質疑で、「政府の立場でこの場に臨んでいるので、個々の政治団体や派閥についての発言は差し控える」の一点張り。
政治についての重要な審議をする場所に出てきて、野党から聞かれるのは不祥事のことばかり。しかも、答えることも出来ない。いったい何なんだろうこの人たちは。
会計責任者として半年くらいたった。この間、政治資金規正法や公職選挙法を熟読し、また、東京都選挙管理委員会や、総務省にも電話で、くわしく教えてもらった。
そして、小さな政党の責任者とはいえ、巨大な国の与党政治団体も々ルールが統べるこの政治の会計の世界で、嘘やごまかし、ましてや、露骨な法律違反は、ただちに犯罪になるということがよく分かった。
そして、今般の驚くべき事態である。
気の毒に、会計責任者たちは、地検に呼ばれて、どんなに恐怖を味わっただろう。そして、法律通り、当たり前のことを言うほかはない。つまり、「事務総長に報告している」という言葉である。団体の代表者と意を通じて、しっかり支出したという以外にない(それ以外はすべて違法になる)。うちら会計責任者が、勝手にそんなキックバックのようなことを出来るわけがない。ましてや、ミスしたり、事務的な誤解など、生じるわけもない。そもそも、政治資金収支報告書は、商業簿記よりもはるかに単純で簡単な、単式簿記、つまりお小遣い帳の感覚で、誰でも付けることが出来る。キックバックを不記載というのは、故意意外に考えられない、代表者が認識している
だから、政治家たる事務総長が口々に言うような、「会計責任者に調べさせている」みたいな言い訳は、絶対に通用しない。自分の小遣い帳の話を、なんでそんな事務員とか、会計士に精査させないと何も言えないのか。ありえない。もしそれが通用するなら、政治家はもとより、社会人として、大人として、大丈夫なんだろうか?政治家って、そんな人でもなれちゃうのか?!
そもそも政治団体の支出については、すべての関係者は代表又は会計責任者と意を通じてなさないと行けない。当たり前だ。勝手に政党支部の金を第三者に渡したりしたら、犯罪以外の何物でも無い。
くりかえしになるが、今回の事件は、(会計担当者が)帳簿に記帳するしないとか、計上項目に間違いがあったとかの話では、これは断じてない。
たんに、党の金を適当にポケットに入れて、そのことを暗黙のうちに追認して、組織ぐるみで脱税や横領といわれても抗弁も出来ないような行為を働いていた。政治資金規正法にも、所得税法にも、刑法にも、違反していると言われても言い訳は出来ないし、現に、小西議員から質問されて、明白に「いいえ」とは誰ひとり、言うことが出来ていない。「政府の立場」と言い逃れるのが精一杯である。
おそらくこのあと派閥は解体に向かうに違いない。古い自民党政治は、2023年、奇しくもたまたま私が会計責任者を拝命した最初の年に、目の前でガラガラと音を立てて崩れ落ちようとしてる。
※高橋洋一氏は自身の財務省キャリア時代の経験を踏まえ、パーティー券は、政策で補助金が交付される対象企業が買うことが多い。もちろん、それは、自民党に金を環流させる結果になっている、という外形を備えることとなる。