政党本部支部が個人に支出する「政策活動費」の雑所得としての課税関係

  3.支出簿, FAQ, 政治活動費

支出した側(政党本部、支部):政策活動費

ただし、二階さんに自民党本部が10億支出したとして、もし二階さんが党勢拡大のために、広告代理店である株式会社電痛(仮称)に10億支払ったら、それは政策活動費としては認められない(普通にそれは、領収書の差出人は電痛でなければならないと言うこと)。

受け取った側(所属議員):雑所得(所得税の課税対象に)

政党本部や支部が、所属構成員に「政治活動費」として支出した場合、受け取った個人は、その金額を雑所得として所得税申告をする必要がある。なお、雑所得は、以下の費用を、受け取った金額から控除して算出する。

政治活動のために支出した費用

  1. もっぱら政治活動のために使用した秘書、事務所職員(臨時職員を含みます)の給料、手当など
  2. もっぱら政治活動のために使用した事務所の賃借料その他事務所の費用(備品費など)
  3. もっぱら政治活動のために使用した通信費、旅費
  4. 国会報告、政見発表などのための費用
  5. もっぱら政治活動のために支出した委託調査費、図書費、会議費
  6. 政党の政治活動の費用を賄うために経常的に負担する本部費、支部費
  7. 政治活動に関する交際費、接待費、寄付金

当然のことながら、これらの経費支出を証するレシートや領収書は、個人の確定申告で、雑所得の必要経費を裏付けるものとして保管しておかなければならないのはいうまでもない。

このブログでは以前、政治家が所属している政治団体から政策活動費として受け取ったお金は、「政治活動のために支出した」と口頭でヒトコト言うだけで、これらの証憑は不要であるかのようなことを書いたかも知れない。もちろん、数十年間にわたり、そうした運用は可能だった。しかし、以下の国税庁の長官の答弁をもって、そうした運用は通用しなくなった。

ただし政治家を例外として――。

「さまざまな機会を捉えまして、課税上有効な資料情報の収集に努めております。これらの資料情報と提出された申告書を分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査をおこなうなど、適正公平な課税に努めることとしております」(国税庁次官)
自民党の萩生田さんは、自分の机の引き出しに2000万円以上の現金がしまってあったと発表しているが、これに対して調査が入ったという報道はいまのところない。政治家であれば、もし自分の机の引き出しにお金が残ってたら、うっかり使わないでおいてありました、というだけで、非課税になる場合もあると言うことが確認出来た。仮にそのお金が、どういう由来のものであったとしても。