2023年12月に勃発した自民党の裏金問題は、毎日ニュースなどから目が離せない状態になっている。
知る権利
もとより、国民には憲法によって、知る権利が保障されている。公金や税金が、適正公正に使われているのかどうか。公職にある人が、どのような仕事をしているのか、していないのか。犯罪行為をしているのかしていないのか。知る権利を行使した国民が、質したのなら、当事者は責任を持ってこれに答える義務がある。
ところが、官房長官は「政府の立場にあるから答えない」といっている。これは理由にならない。政府の立場であればなおのこと、内閣で何が起こっているのか、なぜ国民が疑惑の目を向ける事態に至ったのか、ただちに整理して、説明する義務がある。
容疑の根拠となる法
現在、検察が調べている疑惑で、具体的な法は以下の通りであるとされる。
- 政治資金規正法の不記載
収入があれば必ず収入簿に記載しなければならないが、しなかった(不記載)疑いがある - 所得税法違反
キックバックを受けた議員が、自分の確定申告や、自分の政治団体の収支報告書に記載していないのではないかとされている(裏金)。年に20万円以上の所得があれば、必ず確定申告する必要があるが、これをしないのならば所得税法違反となる。 - 刑法第60条(共謀正犯)
会計責任者や、政治団体の代表が公職に就いている者ではない場合、国会議員は「会計責任者」が勝手にやったことで自分は知らない、というのが通用する。従って、規正法違反(不記載)の部分で犯罪行為が成立したとしても、政治家は無傷でいられる。ところが、刑法では、ある犯罪行為について犯罪の意思を持ってその実行を共謀して実行の分担をしていたときは当該犯罪行為の正犯(まさにその犯罪行為の当事者)として取り扱われる(処罰対象になる)。つまり、会計責任者がやった、秘書がやったは、共謀共同正犯があるときは通用しない。
いわゆる安倍派は、清和政策研究会という政治団体のことをいう。この団体の会計責任者は、検察に、事務総長(つまり政治家)に(キックバックのことを)知らせていたと相次いで供述していることが報じられている。
会計責任者は、団体所属の議員と、すべての情報を共有することは、自分の身の安全を守る、少なくとも、自分だけ責任を負わされ、政治家は無傷のままといった、あまりにも理不尽な事態を防ぐために、絶対に重要だろう。これを拒否するような政治家は論外だ。
そもそも論として、政治資金規正法は、ふわっとした道徳論的な事柄(端的に言うと、帳簿をつけてきちんと報告しようね)という、できっこないことをキメているのに、厳しい刑事罰を備えている。とんでもない法律だといわざるを得ない。共謀正犯があるったって、検察は成立要件(共謀意志、共謀事実、実行行為)を満たす証拠を上げるのは至難の業だろう。したがって、団体所属の政治家が、自動で会計責任者と同等の罪に問われるよう、速やかに法改正を求めざるを得ない。
※本投稿の参考資料 デモクラシータイムズ 「裏金が自民党をぶち壊す!! 米国依存、従属、隷属 WeN20231209」2023.12.9配信 この動画で、三木さんが総務省が公開しているオンライン収支報告書のシステムはあまり使われていない上に、CSVファイルで書き出すこともできないので情報公開の利便性は低いと批判している(とはいえ、使わないのはあり得ない)